Health Care
社会全体での健康づくりを支える

8H2

スペシャリティ酵素を用いた本格的腸活・
機能性ノンアルコールビール製造への挑戦

腸活ビールで愛知から健康寿命延伸

概要及び背景・課題

 ビールは世界で最も消費量の多いアルコール飲料であり、その市場規模は100兆円を超える。日本国内ではクラフトビール醸造所が900を超え、地域資源を活用した多様な製品開発が進んでいる。また近年の研究により、ビールが腸内細菌叢の多様性向上に寄与し、アルツハイマー型認知症予防との関連性も報告されている。一方、健康志向の高まりを背景にノンアルコールビールの需要が急速に拡大している。従来の香料添加型ノンアルコールビールは風味に課題があり、近年は脱アルコール製法が普及しつつあるが、高額な設備を必要とするため中小規模醸造所への導入は困難である。本研究では、スペシャリティ酵素を糖化工程に適用し、発酵性糖を非発酵性オリゴ糖へ転換する新規バイオプロセスにより、設備投資を伴わずアルコール生成を抑制するノンアルコールビール製造技術の確立を目指す。さらに腸内環境改善効果も期待される点に本研究の独創性がある。

開発内容/目標

(1)低マルトース濃度麦汁製造技術の開発
 スペシャリティ酵素を糖化工程に適用し、発酵性糖であるマルトース濃度を約3%に抑制した麦汁を製造する技術を開発し、アルコール生成抑制の基盤技術を確立する。
(2)低アルコール発酵能酵母の選抜
 低アルコール発酵能を有する酵母に関する文献調査を実施するとともに、ミュンヘン工科大学と連携し、本格研究開始後速やかにプロトタイプビールの試作が可能な研究体制を構築する。
(3)「酵素」「酵母」のバイオテクノロジ国際人材交流
 日本の酵素・発酵研究技術者とミュンヘン工科大学の酵母研究技術者の交流を促進するため、ドイツから研究者を招聘し、天野エンザイムイノベーションセンター及び、愛知県食品工業技術センターを見学するとともに、日独国際ビールセミナーを開催することで、国際共同研究の基盤強化を図る。

2025年度の成果/成果活用の展望

【今年度の成果】
(1)低マルトース濃度麦汁製造技術の開発
 スペシャリティ酵素を活用し、目標3%を上回るマルトース濃度2%の麦汁製造に成功。
(2)低アルコール発酵能酵母の選抜と試作
 文献調査および国際研究調整を進め、当初2026年予定であったプロトタイプビール試作を1年前倒しで実施。日独共同で6種類の試作を行い、すべてアルコール濃度1%未満を達成。
(3)国際人材交流
 ドイツから教授2名を招聘し、「酵素」と「酵母」の異分野の国際技術交流を実施。日独国際ビールセミナーを開催し、定員を大幅に超える参加者を得た。これにより、ミュンヘン工科大学醸造食品品質研究所との連携が深化し、参画研究者が増加。

【成果活用の展望】
(1)小規模クラフトビール醸造所でも実現可能なノンアルコールビール製造技術の確立と技術移転
(2)日独バイオテクノロジー研究交流によるシナジー効果の創出
(3)県内クラフトビール醸造所の競争力強化
(4)発酵食文化推進による地域活性化支援
(5)腸活ノンアルコールビールによる整腸機能を活用したヘルスケア事業各種との連携「腸活 × 」の展開