Agriculture & Fisheries
高品質安定生産を実現し、生産性向上を促進

7A2

周年生産を実現するオール電化・高度CO₂
活用型セミクローズド温室の地域実装

植物の生体情報を活かす、高度環境制御型温室

研究開発の概要

 本県農業の中核をなす施設園芸(温室栽培)の収益性を一層向上させるには、従来の冬季暖房による限定的な生産にとどまらず、夏季を含む周年での安定生産技術の確立が喫緊の課題です。その実現には、植物生育状態を的確に診断し、それに基づいて環境を最適に制御する「Speaking Plant Approach(SPA)」と呼ばれる、IoT・AIを活用した次世代環境制御技術の導入が不可欠です。本研究では、以下の3つのターゲット(T1〜T3)を軸に、猛暑や日照不足といった環境ストレスに対応しつつ、高効率なCO₂施用を通じて周年高収益型のスマート施設園芸システムの地域実装を目指します。「T1:植物生体情報の高度活用技術の開発」温室内における作物個体群を対象としたリアルタイム光合成計測技術を開発し、環境ストレスの早期検知および利益最大化を達成するCO₂濃度制御を実現します。「T2:大規模SPAセミクローズド温室の開発」LED補光システムとリアルタイム光合成計測機能を備えた大規模セミクローズド温室を開発し、高効率CO₂施用による光合成促進と収量性向上を達成します。「T3:中小規模向けセミクローズド・パイプハウスの開発と実証」低コストながら高度な環境制御が可能なパイプハウスを開発します。温室全体を対象としたリアルタイム光合成計測に基づく環境最適化制御を実装し、収量向上と環境負荷低減の両立を図ります。

課題/背景

 わが国の農業は、基幹的農業従事者の急減という深刻な課題に直面しています。一方で、健康志向の高まりやライフスタイルの多様化を背景として、サラダ用野菜や高付加価値農産物への需要は着実に拡大しており、これに応えるための施設園芸の高度化が急務となっています。本県の施設園芸は、全国有数の生産高を誇っていますが、カーボンニュートラルの実現に向けた脱化石燃料化、高収益を維持するための効率的なCO₂施用の確立、日照不足による野菜供給の不安定化、さらには猛暑による夏季の作物生産への甚大な影響など、解決すべき課題が山積しています。これらの課題に対応するためには、電気ヒートポンプによる冷暖房、LEDによる補光、高度なCO₂施用戦略、そして効果的な遮光による猛暑ピークの回避など、先進的かつ柔軟な環境制御技術の導入が強く求められています。

開発内容/目標

 本県における施設園芸の持続性と収益性の向上を目的として、リアルタイム光合成計測技術を基盤とした高度な環境制御技術を標準装備したSPAセミクローズド・ハウスを開発し、地域展開に必要となる実証試験を行います。
 T1:植物生体情報の高度活用技術の開発
 作物群落を対象としたリアルタイム光合成計測システムを開発し、光合成データに基づいた最適CO2濃度制御アルゴリズムを開発・実証します。
 T2:大規模SPAセミクローズド温室の開発
 LED補光とリアルタイム光合成計測機能を備えた大規模セミクローズド温室を開発し、収量10%増、日積算光合成量10%増を実証します。
 T3:中小規模向けセミクローズド・パイプハウスの開発と実証
 ツイン・エア・ダクトシステムにより、安価で小規模なパイプハウスにおいて高度な制御環境を実現し、猛暑ピーク回避技術も含めて、収量10%増を実証します。