Carbon Neutral
環境と経済が調和した活力ある産業社会を構築

7C4

山間地域での水素エネルギー普及に向けた
低純度水素対応PEFC開発

低コスト燃料電池

研究開発の概要

 山間地域への水素エネルギー普及には、バイオマスや廃棄物由来の低コスト・低純度水素に対応するPEFCが有効である。現状、これらの水素はCOやH₂S等の不純物が多く未利用で、高純度化は製造コストの約50%を占めるため高価であり、未精製では燃料電池性能が低下する。この解決には、改質時に発生する不純物に対する高い被毒耐性を持つアノード触媒の開発が必須である。我々は、カーボンシェルとPt系コアからなる被毒耐性触媒を開発・実証し、さらにデータベース化、機械学習、あいちシンクロ放射光測定でメカニズムを解明し性能向上を図る。これにより、低純度水素対応PEFCの普及を通じ、地方での持続可能な水素エネルギーの地産地消を加速する。

課題/背景

 水素エネルギーは、持続可能な社会実現のため都市部から山間地域まで普及が求められ、特に地産地消型の水素製造が重要となる。水素は産業や自動車など多様な分野での利用が期待されるが、現状のガス改質・バイオマス・廃棄物由来水素はCOやH₂S等の不純物が多く未利用である。高純度化には製造コストの約50%を占める精製が必須であり、未精製では燃料電池性能が低下する。
 この課題解決のため、本研究は「高い被毒耐性を持つ触媒」の開発を最重要視する。既存の単原子やFe-N-C系触媒は、高価な金属使用や耐久性に課題がある。名古屋大学は、液相プラズマ法とソルボサーマル法でカーボン・コアシェル触媒合成技術を確立した。この独自技術で合成されたカーボンシェル被覆白金触媒は、市販品より優れた耐久性を示し、SO₄²⁻やPO₄³⁻への高い被毒耐性も確認済みである。これらが本研究の強固な基盤となっている。

開発内容/目標

 本プロジェクトは、水素精製不要の低純度対応PEFC用アノード触媒の実現を目指す。2027年3月までに、CO (~500 ppm)・H₂S (~1 ppm)に対し高被毒耐性・高性能を持つ触媒を実証する。将来的に、データベース化と機械学習(MI)活用で、CO数%・H₂S数ppmレベルの被毒耐性を達成し、バイオマスや廃棄物由来の低純度水素活用を可能にし、持続可能なエネルギーシステム構築と山間地域での地産地消型水素普及に貢献する。
 この目的達成のため、白金系触媒のカーボンシェルの結晶性・厚み・被覆率・窒素ドープを最適化し、CO/H₂S被毒耐性を評価する。溶液プラズマ法等の合成プロセスと触媒構造について系統的に実験し、被毒耐性・水素酸化活性との関係性を明確化する。データベース化とMI、あいちシンクロ放射光測定を活用して被毒耐性と触媒構造の関係性、メカニズムを解明し、さらなる性能向上を図る。