Carbon Neutral
環境と経済が調和した活力ある産業社会を構築

8C7

次世代積層セラミックス材料開発に向けた
国際産学連携

国際連携をベースとした愛知発コンデンサ開発

終了研究テーマ

概要及び背景・課題

 EV、再生可能エネルギー、5G/6G通信の拡大により、高性能な積層セラミックコンデンサ(MLCC)の需要は世界的に増大している。MLCCはあらゆる電子機器の安定動作を支える重要部品であるが、その性能は微量添加する元素(ドーパント)に加え、合成・製造プロセスにも強く依存する。特にドーパントの組み合わせは事実上無限であり、さらにプロセス条件も多次元的に変化させる必要があるため、従来の経験や試行錯誤に基づく開発手法では、本来引き出せるはずの性能に十分到達できていない。そのため、本研究では名古屋工業大学を中心に、ドイツのフリーッドリッヒ=アレクサンダー大学(FAU)、名古屋大学、株式会社MARUWA、アイクリスタル株式会社との産学・国際連携により、ドーパントとプロセス条件を一体で高速に最適化する新たな研究手法の開発に取り組む。

開発内容/目標

 本研究では、AIによるデータ解析、ハイスループット合成・評価、ならびに放射光を用いた材料解析を組み合わせ、MLCC用誘電体材料におけるドーパント設計と合成・製造プロセスの同時最適化を行う。AIにより有望な材料組成やドーパント条件を探索し、ドイツFAUのハイスループット合成システムを用いて多数の試料を短期間で作製・評価する。さらに、あいちSRにおける放射光解析によりドーパントの局所構造や電子状態を明らかにし、誘電特性との相関を解析してAIへフィードバックする。加えて、株式会社MARUWAはMLCC製造に関する知見を活かし、実用化を見据えた材料特性およびプロセス条件の妥当性評価に参画する。本研究の目標は、材料とプロセスを一体で高速に最適化可能な研究開発スキームを確立し、高性能MLCC材料を迅速に創出できる基盤を構築することである。

2025年度の成果/成果活用の展望

 今年度は、
(i) 放射光を用いた材料解析
(ii) ハイスループット合成システムを活用した材料探索
を進めた。(i)ではドーパント元素が想定よりも複雑な状態を取っていることが明らかとなり、材料設計の可能性をさらに拡げる結果となった。(ii)では合成開始から約2週間という短期間で48種類の組成について誘電率評価を実施し、年度内目標として設定していた誘電率3000を大きく上回る、5000以上の誘電率を示す組成を見出した。これは、材料設計とプロセス条件を一体で最適化する本研究手法の有効性を示す成果である。
 今後は、これらの実験・解析データをAIへフィードバックし、材料探索の精度と速度をさらに高めることで、用途別に最適化された高性能材料の提案につなげる。将来的には、産業用途や車載用途を含む成長分野への展開を通じて、県内企業の競争力強化と高付加価値化に貢献し、焼き物と自動車産業が盛んな愛知県のポテンシャルを全面開花させることを目指す。