Manufacturing
第4次産業革命によるイノベーションを取り込み、
新技術の開発や新作業の創出を促進

7M2

次世代自動車の熱マネージメント革新/
省エネ・小型・静音熱輸送デバイスの事業化

熱輸送技術に、もう一歩先の進化を

研究開発の概要

 電動化が進展する次世代自動車においては、バッテリー冷却、車室空調、パワートレインの熱管理など、多様な熱制御ニーズに対応するため、小型・高効率・静音性を兼ね備えた熱輸送デバイスの開発が急務となっている。従来の遠心式ポンプでは、省エネ性・静粛性・高密度実装性を同時に実現することが困難であり、革新的な機構転換と製造技術の確立が求められているのが実情である。本プロジェクトでは、これまで自動車用として量産化が難しかったスクリューポンプに着目し、トライボロジー設計、加工プロセス制御などの異分野の技術を有機的に統合した新しい熱輸送デバイスの開発および実用化を目指している(図1)。大学・企業・公設試験機関が連携し、摩擦・潤滑・加工・構造設計の各側面から評価技術と製造プロセスの高度化を進め、性能と耐久性を両立させた新規熱輸送機構の量産化を目指す。本研究開発は、自動車産業における構造転換を支える基盤技術として、県内製造業への展開や若手人材の育成にも大きく貢献するものである。

課題/背景

 スクリューポンプを車載用熱輸送デバイスとして実用化・量産化するには、多面的な技術課題の克服が求められる。まず、高温・高負荷環境下で長期間使用するためには、摺動部における摩耗の抑制や潤滑保持性の向上、混合潤滑状態での低摩擦化といったトライボロジー的課題への対応が不可欠である。次に、スクリュー部の複雑な三次元形状に対して、高精度かつ短タクトで加工できる製造技術、およびμmオーダーでのクリアランス管理が必要となる。さらに、車載用途として極めて厳しい静音要求に応えるためには、回転による振動・脈動の抑制や騒音源の構造的低減が求められる。これらに加え、流体・構造・接触を統合的に解析可能なCAE基盤と、耐久性・効率・静音性を総合的に最適化する設計手法の確立も重要であり、異分野技術の融合が不可欠である。

開発内容/目標

 本プロジェクトは、次世代自動車における統合熱マネージメントの高度化に対応するため、小型・高効率・静音性を兼ね備えた革新的熱輸送デバイスの社会実装を目的とする。その実現に向けては、従来技術では困難とされてきた摺動性能と量産性の両立が必要であり、表面設計と加工技術の革新が求められる。本開発では、摺動部における摩擦・摩耗の抑制や潤滑保持機構の最適化に向けて、トライボCAE解析(図2参照)をフル活用した予測技術を構築する。加工面では、複雑な3次元形状を有する部品に対して、高精度かつ高効率な切削加工技術(図3参照)を確立し、微細な設計公差と高い生産性の両立を図る。研究機関と企業の密接な連携体制のもとで、設計・試作・性能評価から量産設計に至る一貫した開発プロセスを構築し、新しい熱輸送技術の標準化と産業展開を進めていく。