Agriculture & Fisheries
高品質安定生産を実現し、生産性向上を促進

7A3

農地を活用した藻類事業の実現に向けた
培養技術の開発と機能性試験

守りから攻めの農業へ

研究開発の概要

 微細藻類とは、水の中に生息し、光合成によって自ら栄養をつくり出す小さな生き物です。微細藻類は、食品・飼料・エネルギーなど、さまざまな分野での活用が注目されていますが、実際に大量培養に成功し、事業化に至った例は限られています。本事業では、微細藻類の中でも、優れた抗肥満効果を持つフコキサンチンを高濃度に蓄積する「珪藻」に着目し、その大量培養事業に取り組みます。珪藻は屋外での安定的な大量培養が困難でしたが、豊橋技術科学大学は極限環境で生育する珪藻を用いることで上記課題の解決に成功しました(特許出願済)。本事業では、本特許の技術移転先である合同会社サイナルジと、豊橋技術科学大学、株式会社Seed Bank、北海道大学、京都大学が連携し、珪藻の大量培養を事業化するために必要な要素技術の開発に取り組みます。本事業の進展により、高付加価値型の新しい形の農業を創出することで、愛知県内の農業従事者の雇用創出に加え、食品・水産・エネルギーなど幅広い関連産業への波及効果が期待できます。

課題/背景

近年の資材費・肥料費・光熱費・人件費等の価格上昇により、施設園芸農業の経営状況が悪化し、耕作がされていないビニールハウスやガラス温室が増えています。海外からの輸入や路地栽培による「より安い農産物」との価格競争のため、上昇した生産コストを生産物の価格へと転嫁することが難しい点も課題です。このような厳しい状況にある日本の施設園芸農業を立て直すためには、これまでに提案されてきた様々な技術開発、例えば、生産性の向上あるいは生産コストの低減といった「守り」の技術だけでは限界があります。そこで我々は、高付加価値な珪藻を栽培する「攻め」の農業の実現によって農業従事者の収入を増やし、上記課題の解決を目指します。

開発内容/目標

株式会社Seed Bankは国内各地の環境調査で得た知見と、独自に培ってきた分離培養の技術を活かして、より優れた形質を持つ珪藻の探索に取り組みます。豊橋技術科学大学、京都大学、合同会社Sinalgaeは、これまでに取り組んできた藻類の培養に関するノウハウを活かして、愛知県内の未利用温室における大量培養装置の製作と年間を通じた生産性の評価に取り組みます。北海道大学はこれまでに蓄積した動物実験の技術を活かし、珪藻に含まれる有効成分の抽出方法の確立や、疾病モデルマウスを用いた機能性評価試験に取り組みます。これらの取り組みにより、未利用温室を活用した珪藻の大量培養事業の実用化が大きく進展することが期待できます。