Manufacturing
第4次産業革命によるイノベーションを取り込み、
新技術の開発や新作業の創出を促進

7M9

3D構造物の自動レーザーピーニング技術の
開発と応用展開

あらゆる現場で金属疲労を解決

研究開発の概要

 複雑な構造物に適用できる世界初の自動レーザーピーニング(LP)装置を開発する。LPは、材料表層に圧縮残留応力を導入することで、加工や溶接によって生じる強度低下を補い、疲労や応力腐食割れに対する耐性を向上させる先進的な技術である。しかしながら既存のLP装置は大型・高価な据置型であり、複雑な形状を施工する場合にはデータの作成に長時間を必要としていた。また、薄い材料に適用すると、変形や疲労強度が低下するリスクがあるため、装置の小型・低コスト化および施工処理の自動・最適化が求められている。
 本研究では、複雑な形状に対応できる自動LP技術を確立し、施工条件の最適化によって薄肉アルミニウム合金溶接部に対して母材を上回る疲労強度を実現し、LP技術の適用拡大を図る。また、本研究の成果を展開して小型で汎用的なLP装置を県内事業者へ先行的に普及させることで、本県製造業の技術的優位性・国際競争力の向上、更にはCO2排出量の削減を目指す。また、本研究の成果を応用し、レーザーによるピーンフォーミング(薄肉部材の成形加工や矯正)にも挑戦する。最先端のレーザーを使用したロボット技術は若年層の人気が高く、若手博士人材の活躍の場になることが期待される。

課題/背景

 溶接はモノづくりの基盤技術であるが、溶接時の熱影響による材料組織の軟化によって疲労強度が大きく低下するという課題がある。LPは材料の表層に圧縮残留応力を導入することで、疲労強度を効果的に向上させる技術として注目されているが、従来のLP装置は大型かつ高価なため、その適用はタービンや原子炉といった高付加価値製品に限られていた。また、屋外での使用が困難で、複雑な構造物や薄肉材料への対応も難しい。このため、小型で可搬型のLP装置の開発によって低コスト化と汎用化を達成することで、一般工業製品や医療機器への展開が可能となる。
 我々は小型・可搬型のロボット式LP装置プロトタイプを開発し、大型装置に匹敵する効果を確認しているが、複雑で狭隘な部位や薄肉の材料への適用を進めるためには、位置決め技術の開発や施工処理の最適化による自動化と汎用化が必要である。

開発内容/目標

開発1:3D構造物のLP技術の開発
【内容】狭隘な部位で使用できる距離計測技術を開発し、レーザーとともにロボットに搭載するこ
    とで、複雑な形状の自動・高精度LP処理を行う。
【目標】フォーカス自動制御技術および自動LP装置プロトタイプの開発

開発2:LP条件最適化
【内容】残留応力によるマクロな変形を考慮し、薄肉材料のLP処理技術を確立する。シミュレーシ
    ョン等を活用して処理条件を最適化し、放射光施設等を活用して技術を検証する。
【目標】アルミニウム合金溶接部の疲労寿命10倍および母材並み疲労強度の達成

開発3:LP技術の応用展開
【内容】3D積層材(AM材)およびピーンフォーミングへの展開を図る。ビームプロファイルによ
    りLP効果の到達深さを制御し、フォーミング処理を効率化する。
【目標】AM材疲労強度の60%向上およびフォーミングにおける変形量制御の実証