Carbon Neutral
環境と経済が調和した活力ある産業社会を構築

8C5

MOF炭素化技術によるPtフリー燃料電池
触媒製造技術

Ptフリー触媒が導く安全・低コスト燃料電池

概要及び背景・課題

 脱炭素社会の実現に向け、水素を活用したエネルギー技術として燃料電池への期待が高まっています。特に燃料電池車の普及においては、触媒として用いられる白金(Pt)の高コストや資源制約が大きな課題となっており、材料コストがシステム全体の価格を押し上げています。そのため、Ptに依存しないPtフリー触媒の開発が強く求められています。本研究では、名古屋大学山内研究室が確立した「MOFの炭素化」技術を基盤とし、微細構造を保持した炭素材料にメソ多孔構造および窒素などの非金属元素を導入することで、高活性なPtフリー触媒の創製を目指します。基礎研究と実用化研究を接続する産学連携により、燃料電池の低コスト化と高耐久化の両立を実現し、次世代水素社会への貢献を図ります。

開発内容/目標

 本研究の目的は、白金(Pt)などの金属を使用せず、窒素などのヘテロ原子を導入した炭素材料を燃料電池用の酸素還元反応電極触媒として開発し、指標となるE1/2=0.80V(vsRHE)以上の性能を実証することです。Pt系触媒の代替として応用可能な非金属系材料の道筋を示し、将来的な燃料電池の低コスト化と社会実装につなげることを目指します。
 研究は、名古屋大学・クイーンズランド大学・東亞合成株式会社の三者連携で推進しています。2025年度は、非金属ドープ炭素材料の設計・作製と特性評価を通じて、性能指標の達成を目指します。加えて、次年度以降は実用化に資する高性能化や電極試作、耐久性評価などに取り組み、2028年度には量産に向けた製造技術の確立を視野に入れています。

2025年度の成果/成果活用の展望

 2025年度は、非金属ドープ炭素材料を用いたPtフリー触媒の設計指針確立を目的としてドープ元素として窒素を選択し、材料作製および電気化学特性評価に取り組みました。まず、炭素材料をポーラス化することで比表面積を拡大し、ヘテロ原子を高密度かつ安定に導入可能な反応サイトを形成しました。ポーラス構造そのものによる触媒活性の向上は限定的であるとの報告がある一方、本検討でのヘテロ原子導入の前提構造として重要な役割を果たすことが期待されます。次に、特定の電子状態を有する窒素ドープ構造を精密に制御することで、燃料電池正極反応(ORR)において白金触媒に迫る高い活性が発現することを確認しました。その結果、本年度目標として設定していた半波電位E1/2=0.80 V(vs RHE)を上回る0.81 Vを達成しました。今後は、活性発現に寄与する窒素種と局所構造の対応関係を整理するとともに、電極試作や耐久性評価を通じて実使用環境下での有効性を検証します。次年度以降は実用化を見据え、2028年度の量産技術確立を視野に入れたプロセス開発へ展開します。