Carbon Neutral
環境と経済が調和した活力ある産業社会を構築

7C5

MOF炭素化技術によるPtフリー燃料電池
触媒製造技術

Ptフリー触媒が導く安全・低コスト燃料電池

研究開発の概要

 近年、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが世界的に加速しています。中でも水素を使ったエネルギー技術として燃料電池への注目が高まっていますが、高価な白金(Pt)を必要とする触媒のコストが、さらなる普及の大きな障壁となっています。本研究では、名古屋大学山内研究室が開発した「MOFの炭素化」技術を活用し、Ptを使用せずに高性能な燃料電池用触媒を実現する新しいアプローチに挑戦しています。MOF(有機金属構造体)は、金属と有機分子から構成される規則的な多孔体であり、これを高温で処理することで微細構造を保持した炭素材料が得られます。この材料にメソ多孔構造(5~50nmの細孔)と窒素などの非金属元素を導入することで、酸素還元反応において効率の高いPtに似た触媒活性が発現することが期待されます。こうしたPtフリーメソ多孔体触媒の確立により、燃料電池の低コスト化と高耐久化を実現し、次世代の水素社会に貢献することが期待されます。

課題/背景

 脱炭素社会の実現に向けた取り組みが世界中で進む中、水素を活用したエネルギー技術の一つである燃料電池への期待が高まっています。特に自動車業界では、燃料電池車(FCV)の導入が進められていますが、従来の白金(Pt)を使った触媒のコストが大きな課題となっています。
 環境規制の強化により、世界のメーカーは環境負荷の少ない技術への移行を加速しており、日本でも自動車産業の持続的な発展のために、代替材料の開発が求められています。中でも、Ptと同等の性能を持ちながら、コストや資源の面で有利な新しい触媒の開発は重要なテーマです。
 こうした課題に対しては、大学による基礎研究だけでも、企業による実用化研究だけでも限界があり、基礎から応用まで幅広い知見を融合した連携が不可欠です。本研究では、名古屋大学山内研究室が確立した「MOFの炭素化」技術を活かし、大学と企業の協力によりPtフリー触媒の開発を進めます。

開発内容/目標

 本研究の目的は、白金(Pt)などの金属を使用せず、窒素などのヘテロ原子を導入した炭素材料を燃料電池用の酸素還元反応電極触媒として開発し、指標となるE1/2=0.80V(vsRHE)以上の性能を実証することです。Pt系触媒の代替として応用可能な非金属系材料の道筋を示し、将来的な燃料電池の低コスト化と社会実装につなげることを目指します。
 研究は、名古屋大学・クイーンズランド大学・東亞合成株式会社の三者連携で推進しています。2025年度は、非金属ドープ炭素材料の設計・作製と特性評価を通じて、性能指標の達成を目指します。加えて、次年度以降は実用化に資する高性能化や電極試作、耐久性評価などに取り組み、2028年度には量産に向けた製造技術の確立を視野に入れています。